策士策におぼれることのない正攻法の実態調査
ライアントから、色々な意味で業務不適格者なので辞めさせたい人間が居るのだが、との相談がありました。
対象者は、上司の目の届かないところではサボりまくったり、部下に暴言をはいたり、時には暴力をふるったりと、同僚からの評判が非常に悪い様です。
上司の前ではそうではない為に「そんな人ではないだろう」と見過ごしていたのですが、対象者を原因とした退職者が続発し始め、周囲の従業員に聞き取りをしたところ、100%の確率で不評の人物であることが明らかになりました。
さすがに経営者サイドが、どうにかしなければと動き始めたといった状況での調査依頼の相談でした。
夜勤時にサボって寝ている、私用で長電話をしている、タバコを吸いに外に出てばかりいる、といった同僚からの情報もあり、隠しカメラをつけて怠けている証拠をとろうか、といった案もありました。
ただ、従業員のプライバシーもある為、隠しカメラはあまりよいとは言えません。
360度評価をして、本人に評価結果をつきつけようかという案については、同僚への逆恨みということも有り得ます。
数ヶ月の間、色々と対応策を練りました。
経営陣は、縁あって勤めてくれていた本人の将来を潰すような辞め方にはしたくない、との思いもありました。
当社のバックグラウンドチェック(前職調査、リファレンスチェック)を含む実態調査(行動調査)も色々と組み込まれました。
調査結果は、現職社内調査の結果は周囲の申告どおり芳しくなかったが、前職や社外での評判は悪いものではない、というものでした。
その結果を踏まえた経営陣は、自分たちも教育上の落ち度があったと真摯に反省。
対象者と上司や経営陣との話し合いの場を持つことにしました。
経営陣は、ややソフトに、しかししっかりと同僚からのクレームについて伝えました。
このままでは、会社に残ってもらう訳にはいかない、と。
すると、対象者は自分から「会社に良くしてもらって調子に乗っていたのかもしれません。同僚や部下からの信頼をなくしてしまって、ここで勤める訳にはいきません。退職します」と申し出ました。
結果、自己都合扱いで円満に退職手続きが終了しました。
カメラだなんだと策を弄せず、まっすぐに正論を伝えたことが良かったという結末となりました。
まさに、策士策に溺れなかった、成功事例です。