調査員ブログ

バックグラウンドチェックから見た経歴詐称の実態と傾向及び採用リスク

日々のバックグラウンドチェック(リファレンスチェック)の中で感じる事に、経歴詐称に2種類がある事に気づきます。
それは「単純と巧妙」の2つです。
「単純」の例として、無職の期間を誤魔化す為に、前後の職場の在籍期間を長く申告する、実際以上の役職で申告する、があります。この種の詐称は比較的判明しやすいケースです。しかし現在の採用市場では、求職者側も情報収集力を高めており、選考基準等を研究した上で履歴を整える人がいるようで、これは「巧妙」の部類に分けられると思います。
また、副業の一般化、フリーランスの選択肢、リモートワークの普及により実態が外部から把握しにくくなる、等が経歴詐称のしやすさにもつながっています。
その結果、経歴詐称が採用リスクとして見えにくい存在になる事もあります。

例えば、ある採用候補者はクライアントに対し、数年間にわたり「業務委託コンサルタントとして活動」と申告していました。活動期間に相違は見られず、それだけを考えれば、十分な経験を積んだようにも思えます。ただ、委託元との継続的な請負実績はなく、単発業務が中心であり、コンサルタントというより「ヘルプの従業員」といった認識が聞かれました。期間の申告については偽りではありませんが、業務への関わり方には、申告内容との乖離がありました。
このようなケースは、採用選考段階での印象に引きずられると、まず見落としがちです。

短期離職歴の整理も経歴詐称の一形態と言えます。半年未満の勤務先を記載しない、複数の短期勤務を一社にまとめる、空白期間を学業にあてた期間として処理するなど、履歴の再構成は珍しくありません。インターネット上には履歴書の作成方法や職務経歴書の書き方を指南する情報があふれており、「履歴書の盛り方」といったいい加減な助言も見受けられます。その結果、求職者が「不利になりそうな情報を省く」という判断をしてしまうケースもあるようです。その点、バックグラウンドチェックの現場では、前職の対応者の方から、本人が経歴から抹消した情報が得られる事もあります。

役職の詐称や実績の過大申告も多く見受けられます。例えば、ある一般社員に後輩ができた事で、役職をリーダーや副主任と申告する、部門全体の売上を個人実績として強調する等が挙げられます。こうした表現は、採用選考担当者が違和感を持たなければ、そのまま通過してしまいます。

SNS等において、求職者が発信した過去の投稿と職務経歴書の内容に整合性が見られないケースが判明する事があります。履歴書に東京本社で勤務していた、と記載しているにも関わらず、SNS上では同時期に秋田県で生活をしていた等、情報の不一致が見つかった事もありました。

経歴詐称以外では、退職に関する情報も重要なポイントです。
あるバックグラウンドチェックの調査結果では「退職後5年は同業他社への就職はしない」と退職時に念書を提出したにも関わらず、前職で得たスキルを同業他社で活用した人物もいました。再就職先では、業務経験者であった為に良い仕事をしてくれた、との評価を得ましたが、人間性の信頼度において採用を勧められない人材と評価した事もあります。
このようなケースは、調査対象者(採用予定者)の役職が上位であるほど、企業に与える影響は大きくなります。

ここまで書くと「詐称は悪」と主張しているようですが、実際は詐称が必ずしも悪意だけで生じている訳ではないという事も感じています。少しでも選考を有利に進めたいという心理が、結果として経歴詐称につながってしまったケースも多いと思います。
しかし、人材採用は職場の行く末を左右する重要な判断です。情報が欠けていたなら、配置(配属)や育成方針に誤りが生じる可能性があります。
それらの判断材料を提供するのがバックグラウンドチェックの役目である為、判明した相違や問題点は、漏らさず報告するよう努めています。
人手不足の折、企業は採用スピードを優先しがちです。しかし、採用選考時にバックグラウンドチェックを怠ると、将来的なリスクを抱え込む事も予想されます。求職者と企業の双方にとって健全な関係を築く為にも、事実確認は必要です。

従業員採用(雇用)とは単なる人材の確保ではなく、長期的な組織形成の為の第一歩です。人材の信頼性を担保する事は、結果として企業の信頼と持続的成長につながります。経歴詐称という見えにくいリスクに対し、冷静かつ客観的に向き合う姿勢が重要です。

採用選考に、バックグラウンドチェック(リファレンスチェック)を取り入れる事は、安定経営の観点からも重要と考えます。
その為に当社では、バックグラウンドチェック(リファレンスチェック、採用前調査、経歴調査)に関するご相談を随時承っております。
採用候補者について見落としがないか等の不安がある場合は、お気軽にご相談(お問合せ)ください。