㈱中央情報センターでは、企業の与信調査やバックグラウンドチェック(リファレンスチェック、採用前調査)をはじめとした各種信用調査業務を日々行っていますが、その中でも「住所」に苦労させられる事があります。例えば、別府市では「公称住所」「通称住所」「大字住所」が混在しているため、地元の人でなければ理解しにくい住所表記が存在し、所在地を特定するだけでも一苦労。正式な住所表記(公称住所)と、地域の慣習的な呼び方(通称住所)が異なっていると、地図上では見つからない事はよくあります。また、京都市内の住所では、区名の後に「〜通り上る」や「〜通り下る」「入る」「出る」等、そこへ行くための道順を記載している事もあり、そのルールを知らなければ地図アプリ等での検索はできません(京都市の場合は、区名の後ろの道順を省き、町名から後ろを区名に繋げれば検索は可能です)。軽井沢や伊東市等の別荘地も結構厄介で、公称住所とは別に「別荘地用住所」が存在します。地図を片手に、調査依頼書類に記載されている住所を頼りに現地に赴いても、その住所が見つからないという事もあります。これは、地図が公称住所を基に作成されているからです。まさに、調査員泣かせの地域と言えるでしょう。こうした場所では、1つの情報だけでは対応できず、地元の方々に聞きながら、自身の足を使い、特定作業を進める必要があります。ただ、地元の方も自宅の住所表記が公称住所か通称住所か知らない事もあるので、調査は難航しがちです。今あげた地域の調査は住所が複数存在している事が分かっている地域であり、事前の下調べで心づもりはしていても、実際の所在地の特定は手間取る事も多く、正直やや疲れます。
上記の様な事以外で困るのは、提出された履歴書等の資料の記載ミスや、ビジネスや就職のマッチング企業の個人情報に対する配慮等から住所が分からない状況に出くわす事があります。実際、ここ何カ月かの間の調査では、記載された住所が実際と違う、または存在しない住所だった等の調査結果が多かった様に思います。先日も、存在しない住所表記に遭遇しました。現地調査前の下調べ段階で、地図やアプリを参照しても特定はできず、最初から壁にぶつかってしまいました。それでも経験と勘を頼りに、おおよその場所を推測し見当をつけた上、あとは近隣一帯をローラー作戦で調べていきました。住宅地図を片手に候補地を巡り、付近のお店の方々等に聞き込みをしたりしながら、地道に足を動かします。この時は地域情報に詳しい方が協力してくれたおかげで、なんとか正しい所在地を特定する事ができました。最終的に調査が完了した時は、通常の何倍もの時間と労力を費やした事もあり、帰宅後はすぐに寝入ってしまう程でした。
この様な住所に関する問題の発生頻度は低くなく、よくある事例として、居宅が大型マンション(共同住宅)であるにも関わらず、申告されている住所に肝心の部屋番号の記載がないケースです。その他、郵便番号が他府県のものになっていたり、市や町名以下が記載されていなかったりする事もあります。この場合、企業から送付される通知や重要書類が届かない可能性があるばかりか、このような不備があると、細かいところに気を配れない人物なのでは、とのマイナス評価を下す企業もあり、不本意な評価を受けてしまうリスクが大いにあると思います。
調査の現場では、申告された住所と実際の住所が異なっていると調査報告書に「申告住所と相違あり」と記載せざるを得ず、依頼企業から、調査対象者には何かを隠し事があるのではないか、等の疑いの目が向けられる事になります。もちろん、悪意のない単なる記載ミスもあるとは思います。ですが、調査現場にいる私たちからすれば、住所等の申告の不備には十分に気を付けるべき、と考えます。神経質な調査依頼者(クライアント)等の場合は、些細な事であっても、信頼するに足りない人や企業、という印象を与える事があるからです。調査を通じて私たち調査員が感じる事に「情報は正確に」があります。これから求人に応募する、何らかの契約書を作成する必要がある等で信用調査の対象となる可能性がある方は、無用なトラブルを避けるための心がけとして、ぜひご自身の履歴書や職務経歴書等の提出用情報を今一度見直してみてください。番地や部屋番号は正確か、郵便番号に誤りはないか、町名が省略されていないか。ちょっとした確認を怠るだけで、大きな損失を被るリスクがある事を心に留め、情報を提供する場合は、正しく記載してほしい、と私は思います。