調査員ブログ

反社会的勢力関与調査(企業調査)の重要性

(暴力団および反社会的勢力について)

暴力団とは、その構成員が集団的または常習的に暴力的不法行為を行うことを助長するおそれがある団体を指します。暴力や威力を背景に資金獲得や権益拡大を図る犯罪組織であり、社会に対して重大な脅威となっています。

一方、反社会的勢力(反社)は、2007年に公表された「企業の反社会的勢力による被害を防止するための指針」において、「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団または個人」と定義されています。反社会的勢力には、暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標榜ゴロ、政治活動標榜ゴロ、特殊知能暴力集団、さらには近年問題となっている「半グレ」や「とくりゅう」などが含まれます。

反社会的勢力の特徴は、暴力的な要求行為や法的責任を超えた不当な要求などの行為要件に加え、暴力団やその関係企業、総会屋などの属性要件にも着目して総合的に判断される点です。また、時代とともにその形態や手口は変化しており、企業は「関係を持つべきでない相手」として個別に見極め、排除していくことが求められています。

 

(調査現場で見た暴力団事務所の実態)

暴力団事務所の特徴の一つとして、建物の周囲に複数の防犯カメラが設置されていることが挙げられます。一般人にとっては怖い存在の暴力団ですが、それ以上に警戒する相手が多いということでしょう。時代と共に暴力団という存在も変わりつつある中、いまだに防犯カメラや鉄条網などを備えた、物々しい外観を保つ建物も存在しています。

先日、当社へ依頼され実施した企業信用調査(取引先調査)の際に、訪れた調査対象企業の本社建物がまさにそうした外観を持っていました。調査を進めていく中で、調査対象企業の代表者には暴力団組長として逮捕されたという犯歴がありましたが、現在はカタギ(一般人)になって会社を経営していることが分かりました。

カタギになってからも、事務所に防犯カメラや鉄条網を設置したままでいるのは、たとえ暴力団を抜けたとしても、過去の人間関係を引きずっているのか、もしくは長年の習性はそう簡単には変えられないということかもしれません。その事務所の周囲で暮らす人々も、現在は暴力団ではなかったとしても、やはり付き合いは避けている様子が窺えました。また、暴力団事務所であったことは近隣の噂として残っており、それを聞いた何も知らない人は今でもヤクザ(反社会)であると認識する場合もあると思われます。

 

(反社会的勢力との関与リスク)

現代社会において、一般企業が反社会的勢力と関与することは絶対にタブーとされています。反社会的勢力との関係が明らかになれば、企業の社会的信用は著しく損なわれ、取引先や金融機関からの信頼を失うだけでなく、法的な制裁や行政指導を受ける可能性もあります。

しかし、今回紹介した企業信用調査(実態調査)のように、外見はいかにも暴力団であっても、現在はそうではないケースも存在します。こういった、かつては反社会的勢力であった企業と実際に取引を行うかどうかは、各企業の判断に委ねられますが、外部からの目や心理的な面などを考慮し、取引不可の判断を下す企業の方が多いかもしれません。特に大手企業や上場企業では、反社会的勢力との関係を厳しく排除するコンプライアンス体制が整備されており、過去の経緯にかかわらず慎重な対応が求められます。

最も問題なのは、見た目で分かる暴力団事務所のようなものではなく、外見からは全く判断できない反社会的勢力です。たとえば「半グレ」と呼ばれるグレーゾーンの反社会的勢力は、一般人らしく、あるいはそれ以上に紳士的に振る舞い、巧みに罠を仕掛け詐欺的行為などを行っています。彼らは表面的には普通のビジネスマンや起業家のように見え、信頼を得てから不正行為に及ぶため、企業側が見抜くことは非常に困難です。

これら反社会的勢力と知らない間に関係を持ち、被害に遭うことはもちろん、被害に遭わなくとも関係を持ったことが公になれば、それだけで企業の存続が脅かされる事態にもなりかねません。社会的信用の失墜、取引停止、金融機関からの融資拒否、さらには株価の下落や取引先の離反など、企業経営に多大な悪影響を及ぼします。

 

(企業信用調査の徹底が企業防衛の鍵)

表面的な部分だけで判断せず、新規取引、既存取引、M&A、投資など、いかなるケースにおいても企業信用調査を行いリスク低減に努めることは非常に重要です。反社会的勢力の定義や実態は時代とともに変化し続けており、企業は常に最新の情報と慎重な調査をもとに、健全な経営を維持していく必要があります。

信用調査会社として、私たちは今後も社会の安全と企業の健全な発展のため、反社会的勢力の排除とリスク管理に貢献して参ります。