調査員ブログ

退職代行の利用実態と採用リスクをバックグラウンドチェックの調査結果

今年2月に大手の退職代行業者の代表が逮捕された事は、記憶に新しいと思います。
この一件で、退職代行サービスの利用者数も落ち着くのかと思いきや、依然として一定の利用数があるようです。

私が行った今年度の採用におけるバックグラウンドチェックやリファレンスチェックの結果では、まだ代行業者を利用した例はありません。ただ、昨年度は代行を利用した退職者が多かったように思います。

退職代行業者については以前、アメリカの掲示板型ソーシャルニュースサイトで「日本には、退職代行という退職の専門家がいる。どう思う?」といった投稿がされました。その内容は、日本の労働者は職場を簡単に退職できないという前提で書かれており、様々なコメントが寄せられていたようです。投稿に対するコメントの中には、日本で退職を申し出れば、ハラスメントを受ける、裏切り者扱いされる等、日本の職場環境の悪さを指摘するものもありました。
私個人としては、退職代行業者の存在意義は承知をしているつもりですし、有用性のある業だと思います。劣悪な環境の職場が存在する事は事実であり、同サービスを必要とする場面はあると思います。実際に、東京のある企業からの採用調査(バックグラウンドチェック)依頼の結果においても、やむを得ない事情の中で適切に利用されたケースもありました。ただ、私が行ったバックグラウンドチェックやリファレンスチェックの結果では、職場環境に問題がないにも関わらず、無断欠勤後に退職代行を利用した例が多かったと思います。そのような代行サービスの利用は、採用調査(バックグラウンドチェック)を依頼したクライアント側では、採用リスクとして捉えられました。

例えば、一般的な労働環境の中で、勤務態度について通常の必要な指導を受けていたにも関わらず、指導を避けたいが為に業者を使い逃げるように退職する等の道理に合わない利用もありました。同案件では、後始末を他者に押し付けており、会社側に大きな負担が生じたそうです。同サービスを利用する際には、他に迷惑を掛けぬよう、筋を通した利用(データ等を隠匿しない、貸し出した備品は返却、引継ぎ資料の有無の報告等)をお願いしたいです。

代行産業は多様化しているようで、変わったところでは「謝罪代行」というサービスもあるようです。例えば、取引先との仕事でミスをした従業員が、勤めている会社に知られずにその事態を収めたい時等に、謝罪代行業者の人に上司を演じてもらい、取引先にて一緒に謝罪する、といった事を行う業種だそうです。料金も退職代行と同程度の金額であり、大きなトラブルを招く事を考えれば安い出費なのかもしれません。ただ、謝罪は社会人としての成長に必要な要素の1つであり、サービス利用については賛否両論が見られます。

バックグラウンドチェック、リファレンスチェック等の採用調査を行っていると、謝罪をする事ができない、謝罪が必要だと考えない対象者(退職者)の話を聞く事もしばしば。ひどい考え違いでは、不都合が生じた場合の責任は会社にあり、上司が自身の代わりに謝罪へ出向いて当然と考え、自身で謝りに行く気もない、等がありました。
謝罪代行はそのような人にとって便利な良いサービスに映るのでしょうか。

現在まで私が行った採用調査(バックグラウンドチェック)の結果では「謝罪代行を利用した」との話はまだありません。利用するなら、責任感や問題解決能力等の自身の成長を妨げるような使い方だけは避けてほしいと思います。また、代行業者のサービスの内容によっては、法的な問題が生じる可能性もある為、トラブルにつながらないよう適切に利用する必要があります。
代行産業はまだまだ成長傾向にあるようで、その他にも、家族や友達代行、葬式参列代行、受験の面接者代行等もあるそうです。それらは便利なサービスではありますが、違法なものもあり、使い方を間違えればリスクを負う事もあります。
代行業者を使うこと自体は悪いとは思いません。適切な場面で適切に利用される限りにおいては、有効な手段の一つと言えるでしょう。
一方、当社のバックグラウンドチェックやリファレンスチェックの調査結果では、それらを利用した事のある人については「大事な事を人任せにしている印象がある」として採用担当者や企業側の評価が高くならないケースが多いように思います。

確かに使う側からすれば、それらは便利なサービスであり商品の1つです。一方、利用する方々には、サービスの頼り過ぎや、間違った商品の使い方をしていると、自身でピンチを切り抜ける力が付かなくなる可能性がある事は意識してほしいですね。

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