調査員ブログ

AI時代の反社チェックと与信調査「検索情報だけでは見えないリスク」

株式会社中央情報センターでは日々、新規取引を検討している企業の信用調査や、反社会勢力関与調査(いわゆる反社チェック)に関する相談や依頼を受けています。その中で、多くの企業や経営者の方が「見えている情報」を基準に判断していると感じる事があります。
企業ホームページやSNS、報道記事等から得られる情報は、一定の参考になりますし、行うべき確認作業です。これは、人材採用時でも同じで、バックグラウンドチェックやリファレンスチェックの際には必ず検索します。しかし、それだけで相手の実態を判断するには、情報が不足しています。

当社が所在する大阪府では、条例により「事業者は暴力団と一切の関係を持たないよう努める」と定められています。
一方で、取引契約時に相手方が暴力団員か否かを確認する「義務」までは規定されていません。
東京都では「確認するよう努める」とされていますが、それでも最終的な判断は各企業が行っているのが現状です。

こうした背景から、多くの企業では契約書に「暴力団排除条項」を導入しています。これは重要な措置で、後に相手方が反社会勢力と判明した場合でも、契約解除や取引停止を可能にする為のものです。「暴力団排除条項」は、大阪も東京もその導入を推奨しています。
しかし、実際には条項の導入をしているだけで、全てが解決する訳ではありません。相手方が素直に取引停止を受け入れるとは限らず、場合によっては嫌がらせやトラブルに発展する可能性もあります。要は、問題が発生した後に対応するのではなく、取引開始前の段階で反社チェックや反社会勢力関与調査を行い、リスクを可能な限り低減しておく必要があります。

近年は、AIを利用した反社チェックサービスも急速に増えています。対象企業名や対象者名を入力すると、過去のメディア記事やインターネット上のネガティブ情報を一括検索し、レポート化するサービスです。手軽で便利であり、料金も比較的安価な為、導入する企業は増えています。しかし、現時点では、「検索結果を整理して提示する」段階のものが多く、実地調査を伴わないケースがほとんどです。

一方、インターネット検索やAIを利用した情報収集だけでは判断が難しかった案件について、東京のクライアント企業から相談を受けました。内容は、「取引を検討している企業の代表と同姓同名で、年齢も同じ逮捕歴のある人物の記事を見つけた」というものでした。
確かにインターネット検索ではネガティブ記事が多数表示され、表面的には非常に危険な印象を受けます。しかし、当社が現地調査を行った結果、記事の人物とは全くの別人である事が判明しました。その方は、過去に風評被害を受けた事があり「逮捕者とは別人である」と説明が行われていたそうです。近隣住民への聞き込みでも、その事実が確認できました。
しかし、その後の地域での説明や名誉回復についてはニュース記事になっていません。その為、検索結果だけを見ると、まるで調査対象者に逮捕歴があるかのように見えてしまいます。現在のAIを活用した反社チェックサービスには、記事情報を整理して提示する事を主な機能とするものも多く「その情報が調査対象者に関するものなのか」の確認までは十分ではありません。

これは、反社チェックだけに限った話ではありません。採用時のバックグラウンドチェックや与信調査でも同様です。当社が調査をしていると、世間一般で語られている人物像と、実際の姿が全く異なるケースに頻繁に遭遇します。

企業の信用調査にしろ、反社会勢力関与調査にしろ、聞き込みは重要です。当社の調査は、そのような現地で得られる情報の積み重ねを重視しています。対象地域に足を運び、周辺環境を確認した上で、必要に応じて近隣への聞き込みを行います。そして、複数の情報を照合した上で調査報告書として提出しています。非常にローテクな手法とも言えますが、現時点では、そこにしか存在しない情報が数多くあります。

これまでのブログの内容ですと、AIを否定しているようですが、私はAI技術を否定していません。AIによる情報整理や検索技術は年々進化しており、調査の方向性を定める参考として有効である場面も増えています。今後はAIと実地調査が組み合わさる事で、より精度の高い反社チェックや与信調査が可能になるかもしれません。

最後にお伝えしたいのは、反社チェックや与信調査、バックグラウンドチェックは特別なものではない、という点です。リスクを低減するための判断材料を得る手段として有効である事を知り、健全経営に役立ててもらえれば、と私は考えます。そして、取引開始前の一手間が、将来の大きなトラブルの防止につながります。

企業調査や反社チェックについて、具体的にお知りになりたい場合は、こちらからお問合せください。

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