調査員ブログ

企業信用調査(反社チェック)における代表者調査の重要性について

企業信用調査(反社チェックを含む)とは、企業の信用状況や経営実態を多角的に調査し、取引先としての適格性を判断するための手法です。与信管理や新規取引先選定の際に活用されることが多く、企業の財務情報だけでなく、代表者や関係者の素行・評判、反社会的勢力との交友関係など、非財務情報まで幅広く調べることが特徴です。

この企業信用調査において、しばしば見落とされがちなのが「代表者の調査」です。特に中小企業やオーナー企業の場合、代表者個人の信用や行動が企業全体の信用に直結することが多いため、企業信用調査においては代表者の調査は極めて重要な要素となります。

当社の企業信用調査では、企業の代表者に関しても対象企業と同様に徹底した調査を行います。代表者が実質的な経営権を握るオーナー企業では、外部から見えにくい株主構成や実態とのギャップがしばしば存在します。そのため、企業信用調査を通じて代表者の人物像や過去のトラブル履歴、反社会的勢力関係者との付き合い、対外的な評価などを明らかにすることで、企業全体のリスクを可視化することができます。

企業信用調査において代表者に懸念が見られるケースの中でも、もっとも分かりやすいのは「逮捕歴」や「犯罪歴」「反社会歴」です。実際、当社がこれまで行ってきた企業信用調査の中では、法人税法違反、つまり脱税による逮捕歴が最も多く見られました。その他にも、有印私文書偽造や詐欺罪、助成金詐取、工事代金の不正請求、暗号資産投資を装った詐欺行為、暴力団や半グレとの交流など、代表者が関与していたとされる重大な事案が数多く判明しています。

しかしながら、企業信用調査の難しさは、これらの情報が必ずしも公にされていないことにあります。新聞やWeb記事、週刊誌といったメディアから得られる情報は、氷山の一角に過ぎません。本人や関係者の申し立てにより、過去の記事や検索結果が削除されているケースも少なくなく、企業信用調査を行う上で、表面的な情報だけに依存していては正確なリスク評価は不可能です。

さらに厄介なのは、詐欺行為を行う人物の多くが、法律知識に長けており、言動にも巧妙さが見られるという点です。こうした人物は、法に触れるギリギリの行為を繰り返しながら、摘発を逃れて活動を続けるバランス感覚に優れているため、企業信用調査においても一筋縄では実態把握はできません。ただ、逮捕には至っていなくとも、過去の取引先や周囲からの情報により、「怪しい動き」や「不審な言動」が浮かび上がるケースもあります。

例えば、当社が行った企業信用調査の一例として、調査時点では代表者に明確な犯歴は確認されなかったものの、取引先や周辺住民から「不自然な動きが多い」との証言が複数得られた案件がありました。数か月後、その代表者が補助金詐取の疑いで逮捕されたという報道がなされ、さらに過去の余罪も次々と明らかになったのです。このように、企業信用調査においては、直接的な証拠よりも、間接的な情報が将来のリスクを示唆することも少なくありません。

また、代表者だけでなく、企業信用調査では株主や実質的支配者についても調査対象とすることがあります。過去には、調査対象企業の筆頭株主について、日頃の言動に対する疑念の声が多数寄せられたことがありました。その後、当該人物が麻薬取締法違反で逮捕され、長年にわたり違法薬物を使用していた事実が明るみに出たのです。また、違法薬物の取引において、半グレと関与していたことも分かりました。

近年では、違法薬物の種類も多様化しており、特に合成麻薬などは表面化しにくい傾向があります。そのため、企業信用調査を通じて少しでも異変を察知し、リスクの芽を早期に摘むことが、事業者としての健全な経済活動を守ることにつながります。

当社の企業信用調査では、単なる書面上の情報だけに留まらず、対象企業や代表者について、現地での聞き込みや周辺環境の調査も積極的に行っています。この「側面調査」は、情報が限られる中小企業やスタートアップ企業において、実に有効な調査手法の一つです。取引先等の信用調査の現場では、表に出ない情報こそが最大のヒントになることが多く、信用リスクの見極めには欠かせないアプローチです。

企業信用調査(反社チェックを含む)は、単なる情報収集ではなく、企業を取り巻く人間関係、社会的信用、行動履歴、反社会的勢力との関与の有無など、総合的に評価するための重要な手段です。目に見えるデータだけでなく、その背後にある人間関係や行動パターン、過去の問題行動、暴力団や半グレ、トクリュウとの交流など洗い出すことで、初めて正しい判断が下せるのです。

今後も企業信用調査のニーズは高まり続けると考えられます。特に経済活動が多様化し、企業間取引が複雑化する現代において、企業信用調査は、健全な取引の基盤を築くための最も有効なツールであるといえるでしょう。