企業が成長していく為には、新たな取引先との出会いは欠かせません。販路の拡大や新しい事業への進出、仕入先の開拓等、新規取引は企業活動に収益の機会をもたらします。一方で、取引開始前の確認が十分でなかった為に、トラブルに巻き込まれるような事態に発展する可能性もあります。
取引前の企業の信用調査を行っていなかった為「事前に相手を調べておけばよかった」との話を聞く事があります。株式会社中央情報センターでは、新規取引を安心して進める為にも、契約前の与信調査は欠かす事のできない重要な工程と考えています。
まず確認したいのは、相手企業に継続的な事業実態があるかという点です。今年7月中旬には、上場企業でありながら、会社そのものが消失したかのような状態となり、代表取締役は不在、会社の実印や帳簿、預金通帳も所在が分からなくなっている、との報道がありました。こうした事例は、企業の知名度や規模だけでは判断できない問題がある事を示しています。
法人登記簿は企業の法的な存在を確認するための重要な資料です。ただ、法人登記簿上の所在地に訪れると、バーチャルオフィスであった例は多々あります。もちろん、バーチャルオフィスを利用する企業に問題がある訳ではありませんが、取引にあたっては事業実態の確認が重要です。規模の大小にかかわらず、取引先の稼働状況を把握しておく事は、安定した経営を続ける為の基本と言えるでしょう。
また、代表者に関する情報も重要な確認事項です。企業経営は代表者の考え方や判断によって左右される事も多いです。その為、過去の事業歴や経営実績、業界内での代表取締役の評価を知る事で企業の将来性を考える上での参考になります。例えば、過去に短期間で複数の会社の設立や解散を繰り返していたり、本店所在地を頻繁に移転していたりする場合には、その背景を確認する必要があります。そこには、過去の事業活動で何らかの問題があった可能性も考えられるからです。
さらに重要なのが、反社会的勢力との関係の有無です。現在では多くの企業が反社会的勢力排除条項を契約書に盛り込んでいますが、契約書に記載するだけでリスクがなくなるわけではありません。取引開始後に反社会的勢力との関係が判明した場合には、契約解除だけでなく、自社の社会的信用にも影響を及ぼす可能性があります。金融機関や上場企業だけでなく、中小企業でも反社会的勢力調査を実施するケースは増えており、コンプライアンスの観点からも欠かせない確認事項と言えます。
近年は、AI情報を含むインターネット上の情報を参考にする経営者も少なくありません。ただ、インターネット上の情報は真偽が混在しており、それだけで判断する事は適切とは言えません。当社への調査依頼でも、ネット上で「反社会的組織の関係者」といった書き込みを見た、として反社会的勢力関与調査(反社チェック)の相談が寄せられる事があります。重要なのは、ネット情報だけに頼らず、第三者機関による与信調査で得た情報を参考にし、総合的に判断する事です。
当社の信用調査では、企業の沿革や経営状況、取引実態、代表者の風評等の情報を確認し、取引の際のメリットやリスクを報告として提出しています。実際にあったケースでは、反社会的勢力との関係が疑われていた企業について調査したところ、代表者が反社と関係する人物と同姓同名であっただけ、という結果もあります。このケースで反社会的勢力関与調査を行わなければ、ビジネスチャンスを失っていた可能性もあります。
企業活動では、新しい取引先との出会いが成長につながる一方で、事前の調査を怠った事で「損失」という形で企業経営に大きな影響を及ぼす場合があります。取引開始前に企業信用調査を実施する事は、相手企業を疑う為ではなく、自社の経営を守る為のリスク管理です。実際に問題がない事を確認できれば、安心して取引を開始できるという意味でも大きな価値があります。
新規取引は企業同士の信頼関係から始まります。その信頼をより確かなものにする為には、契約書や条件交渉だけではなく、相手企業の実態を客観的に把握する事も欠かせません。企業信用調査で得られる情報は、取引の可否だけでなく、健全な取引関係を築く重要な判断材料となります。企業を取り巻く環境が変化している現在だからこそ、新規取引前に相手企業を確認し、得られた情報をもとに慎重に判断する姿勢がこれまで以上に求められます。
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