企業間の取引において、取引先がどのような企業なのかを確認することは、信用リスクを管理するうえで重要です。財務内容や業歴、経営状況だけでなく、経営者や役員、主要株主などについて確認する「反社チェック」「反社調査」も、企業のリスク管理における重要な調査の一つとなっています。
特に注意したいのが、公開情報だけでは把握しにくい、反社会的勢力との人的・親族的な関係です。
当社の企業信用調査においても、こうした「表面からは見えにくい関係」が判明した事例がありました。
調査対象となったのは、県内でも有数の畜産業者でした。創業から半世紀近い業歴を有し、地域でも一定の知名度と信用を築いていた企業です。
しかし、約10年前、創業者が暴力団の関与が疑われる事件に関連して逮捕された経緯がありました。その後、現代表が事業を引き継ぎました。現代表は設立当初から技術面を支えてきた人物で、取引先からの信頼も厚く、創業者の逮捕後は企業の信用回復に尽力してきたとされていました。また、創業者との関係も断ち切ったことを取引先などに説明しており、周囲からは「現在の会社については問題ない」と認識されている状況でした。
さらに、創業者の息子と娘がそれぞれ役員や大株主となっていましたが、親子関係と仕事上の関係は分け、創業者とは業務面での関係を持たないという説明もされていました。
ここまでの情報だけを見ると、創業者の問題は過去の出来事であり、現在の経営体制とは切り離して考えることもできます。ところが、当社が企業信用調査を進める中で、別の情報が浮かび上がってきました。
逮捕された創業者は、現在、県外で別の事業を営んでいました。そして、その事業について反社会的勢力が関与しているとの話が聞かれました。もちろん、こうした話だけで事実を断定することはできません。そこで、さらに周辺情報を確認していくと、創業者の息子は父親の実家を居住場所としており、娘についても創業者と同じ敷地内に建つ居宅で暮らしていることが判明しました。さらに近隣からは、息子や娘が父親である創業者と現在も親密にしている様子だという情報も得られました。
ここで重要なのは、「創業者の親族が役員や大株主であるから、この企業も反社会的勢力と関係がある」と単純に判断することではありません。親族関係や居住実態だけをもって、企業そのものの関与を断定することはできません。
一方で、取引先が把握していた「創業者との関係を断ち切った」という説明と、実際の親族関係や生活実態との間に、確認すべき点が残されていることも事実です。
企業間取引では、会社案内やホームページ、登記情報など、公開されている情報を確認することが一般的です。しかし、それらの情報だけでは、経営者や役員の人的関係、親族とのつながり、過去から現在に至る関係性まで把握することは容易ではありません。
だからこそ、反社チェックや反社調査では、公開情報を確認するだけでなく、必要に応じて周辺情報を確認し、企業を取り巻く人的関係を多面的に捉えることが重要になります。
特に、過去に反社会的勢力との関係が指摘された人物が経営に関係していた場合には、「現在は関係がない」という説明だけで判断するのではなく、その後の経緯や現在の関係性について確認することが、企業のリスク管理につながります。
企業信用調査は、単に「この会社が儲かっているのか」「支払い能力があるのか」を確認するだけのものではありません。安心して取引を継続できる企業なのか、将来的に問題となる要素が潜んでいないかを確認することも、重要な役割の一つです。
反社会的勢力との関係は、一度問題が表面化してから対応するのではなく、取引開始前や取引継続時に確認しておくことが大切です。
「反社チェックを実施したから大丈夫」と考えるのではなく、公開情報によるデータチェックに加え、必要に応じて実地調査なども組み合わせながら、見えている情報と見えていない情報の双方から取引先を確認する。
それが、現在の企業に求められる反社会的勢力関与調査の一つの考え方ではないでしょうか。
当社では、企業信用調査、与信調査のほか、反社チェック、反社調査、反社会的勢力関与調査などを通じ、取引先企業を取り巻くさまざまな情報を確認しています。
表面的な情報だけでは判断できない企業リスクを把握し、安心して取引を行うための判断材料として活用していただくことが、企業信用調査の重要な役割だと考えています。
ご相談、お見積りは無料です。

